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会誌: 月刊『佐原だより』6月号の連載アーカイブス(佐原商工会議所)転載

佐原商工会議所が発行されます会誌『佐原だより』にて、昨年一年間でありますが連載「美しい佐原風景」を掲載しておりました。記事を転載致しますので、是非御拝読頂ければと思います。

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翡翠色に輝く実梅が、梅雨のあいまに目にとまる季節。夏本番を迎える梅雨の六月は「梅しごと」という仕込み作業が、日本各地の家庭でみられる今日この頃であります。実梅は他の果実と異なり、生食することは殆んどなく、その大部分が梅干しや梅酒などに漬込みます。特に梅干しは、実梅がもつ強い防腐作用と解毒効果があることから、終戦直後の日本人を疫病や食中毒から救ってくれた日本独自の伝統食であります。梅の栽培起源はなんと4,000-5,000年前と大変古く、原産地は中国四川省~湖北省一帯。日本伝来は、弥生時代に渡来してきたと考えておりますが、確かな文献は無く、後の奈良時代に中国呉から渡来した僧侶が、欽(きん)明天皇(めいてんのう)への献上品に梅樹があったことは確認しております。その後、奈良の平城京周辺で栽培が始まりまして、仏教の普及とともに全国の寺社仏閣へ広がりました。さらに、遣唐使が中国漢方である「鳥(ウ・)梅(バイ)」(青梅の種子を取除き、燻乾させたもの)を持ち帰ったことから、語源音「ウーバイ=ウメ」と呼ばれるようになり、鎌倉時代になると、実梅を塩漬けにし、天日干しをして、再び漬けるという「梅干し」が開発されるようになりました。日本人にとって朝食に梅干しが欠かせないのは、「梅はその日の難のがれて」という諺のように、旅人が梅干しを携帯し、出先での災難(熱病や風土病)に遭遇しても、梅干しを食べることによって免れられるという長年の知識と知恵によるものであります。それゆえ、旅館の朝食では、旅人の道中御無事を願い、必ず梅干しが添えられるようになったのであります。

これからの季節、佐原には多くの御客さんが御越しになります。先人たちが築き上げてきた“旅人を思う心”を忘れずに、今日も明日も、明るく御迎えしたいものであります。

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